評価書の見方

◆評価書は不動産鑑定士が作成します。◆

評価書は、物件概要と 価額算定の経過が記載されています。評価人が、現場・市町村役場等・法務局での調査結果が記載されます。

資料も添付されます。その結果、売却基準価額算出の経過を記載しています。

◆注意点◆

不動産鑑定士も人間 人の児です。ウッカリミスもたまにありますので、注意が必要です。(笑)

大抵は、調査しなかった事項の不記載ミスのようです。私の経験では、計画道路・公道、私道の別・位置指定道路の有無等 が主なミス。

尚 確認作業には、「朝日流・物件調査シート」をご利用ください。

 

◆評価書を読む場合の注意点(独特の評価方法)◆

初めて、評価書を読む方は「アレッ?」と思う事があると思います。

例えば 一戸建の場合で、土地建物が同一所有者の場合は、最終的な土地の評価額と建物の評価額が通常と異なっています。

通常、建物の現在価額が¥1000万とします。土地の価額が¥2000万とします。それで、合計¥3000万の評価となります。 

 

競売不動産の評価額の場合、合計額は同じとしても、土地、建物の評価額が違ってきます。

例えば、建物の評価額は¥2400万、土地についての評価額は¥600万とな ります。 

 

これは、次の理由によります。まず、建物の評価額を普通に算出します。木造であれば、建物全体を構成する木材の値段、とでも申しましょうか?この場合は¥1000万とします。

これに、建物の敷地である土地について、建物所有者が利用する権利の割合を付加します。

¥1000万(建物価額)+¥2000万×70%(土地を利用する権利割合)=¥2400万。

これが建物の価額になります。

法定地上権付の建物」といいます。土地の価額は、底地の価格となります。

土地の70%は、建物の価額に転化されていますから、¥2000 万×30%(底地割合)=¥600万となります。

(割合については、地域差があります。)

 

 果たして何故こんなややこしい計算方法をするのでしょうか?理由はこうです。

まず、前提として、土地、建物は別個の不動産という考え方です。上記土地、建物の所有者に¥1000万を貸した債権者が、競売申立てをしたと します。

土地、建物全部を¥3000万で売却しなくても、建物¥2400万 を競売にだして、買い手があれば、それで、借金はチャラとなりますね。

この場合、純粋に建物の価額¥1000万だけで競売にだしても、敷地 を利用する権利の無い建物は、木材だけの価額です。恐らく 買う人はいないでしょう。

敷地を利用する権利を建物に付加して、初めて建物は価値がでます。国家経済の観点からも、そのような方式がとられています。

 

同様に、貸金¥300万の返済を求めた債権者に対しては、土地¥600万を 競売に出して、買い手がつけば、何も土地建物合計¥3000万で、競売に附す必要はありません。徒に、所有者の財産を減らす事はできません。

以上の理由で、競売不動産の独特の評価方法がなされています。